5月3日はゴー宣道場拡大版。
テーマ「憲法は今、生きているかーコロナ禍、自衛権、天皇」
だった。広い会場に参加者が一杯で、熱気に溢れていた。
事前に、施設の管理者から無観客での開催を要請されたが、
運営責任者の丁寧かつ根気強い交渉の結果、
感染対策に万全を期すという約束で、無事、リアル道場の開催に
漕ぎ着けてくれたらしい。先ず、交渉に当たられたT氏の貢献に、感謝の気持ちを伝えたい。
次に、お忙しい中を、オンラインでゲストとしてご参加下さった、
自民党の稲田朋美衆院議員と国民民主党の山尾志桜里参院議員に、
心から御礼申し上げる。直接、国政に携わり、それぞれの所属政党でも、
しかるべき影響力を持っておられる方々が、立場の違いを越えて、
積極的に討議にお加わり下さり、重要なテーマについて、
率直にお考えを示されたことは、貴重であり、有り難かった。ゲストとしては、他に憲法学者で慶應義塾大学教授の横大道聡氏が、
わざわざ会場にお越し下さった。
その基調講演で、新型インフルエンザ等特措法に基づく
「罰則付き休業要請」について、以下のような指摘をされた
(会場で配布のレジュメより)。「罰則付き休業要請は、目的(新型コロナの蔓延防止)と
手段(“一律”規制)が整合していないため、踏み込んだ審査を
しない場合でも(憲法上の権利の)制約を正当化できず違憲
であると考えられる」「“一律”規制は、目的に適合していない。
また、法律の目的には、『国民生活・国民経済に及ぼす
影響の最小化』も謳われているが、それが踏まえられていない」「運用の段階を捉えても、極めて悪質な場合を除いては、
命令・罰則の対象にできないはず。
あるいはそのように限定して解釈しなければ、営業の自由との
観点、法律の目的との整合性という観点から、同法
(新型インフルエンザ等特措法)は違憲の疑いが濃い」以上から、同措置は、「補償」の対象ではなく、「賠償」(!)
の対象だと断じられたのは、胸がすく思いだった。
加えて、憲法が、自由を制限する要件として「公共の福祉」という
甚だ茫漠とした概念を挙げていることに対しても、
手厳しく批判された。私個人としては、この点と、エリート・プラグマティズム
(法律改正でできることを憲法改正できる実現しようとする
ことを批判する立場)への批判(「簡素簡潔」=権力を制限する
規範としては脆弱な憲法典のもとで、改正しなければできないことは
限られている)こそ、今回の最大の収穫だった。討議の中では、作家の泉美木蘭氏の発言が光っていた。
実に学ぶ所の多い道場だった。
他の師範や参加者の皆さんも同様だったのではないか。
縁の下の力持ちとして、細心の注意を払いつつ、運営に当たって下さった
皆さん、本当に有難う。そして、今回の最大の功労者は、討議のキーコンセプトを固め、
全ゲストに呼び掛け、討議でもコーディネーターを務めて、
道場を成功に導いてくれた、倉持麟太郎弁護士だろう。感謝。
【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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